国家機能の制約と外部集約に直面する「国民国家」

国際協力銀行 代表取締役副総裁・元財務省財務官 渡辺 博史

本来は民族を意味するnationネーションという言葉は、実態として同一の言語、同一のメディアがカバーする範囲、

さらには経済圏としての同一性などを意味するようになった。
一方、stateステートは同一の法の執行が受け入れられる範囲などとされる言葉だが、これにnationネーションを合わせた

nation stateネーションステートは、17世紀後半から19世紀に至る間に欧州で成立してきた。

20世紀後半以降、このnation stateネーションステートを改めて外部集約しようとする様々な試みが行われている。


EUでは加盟27カ国中17カ国が通貨統合にまで進んだが、2010年以降このうちPIIGSといわれるギリシャをはじめとする

5カ国が財政危機を懸念され、その救済のために所得再分配や資源の有効配分さらには安全保障まで含む

完全統合に進むのかどうかの岐路に立たされている。

ASEAN+3は、経済連携組織であって、例えば流動性供給でも2国間通貨スワップ網構想から多国間協定化へと進んでいる。

しかし、より緊密な統合へ進むために必要な、各国間の権利義務のバランス及び格差調整について未だ確固たるスキームが無い。
NAFTAは米国の比重が大きすぎるためEUのような超国家組織には結びつかない。

しかし、中南米の地域連合の存在もあり、むしろ南太平洋および西太平洋諸国全体を包摂するTPPの視野の中で、

地域機構の新たな決定過程が模索されている。